地域をつなぎ、日本を未来へ。
北海道で200店舗以上を展開しているドラッグストア「サツドラ」の運営や、地域マーケティング事業で、北海道の利用者191万人以上の共通ポイントカード「EZOCA(エゾカ)」などを展開するサツドラホールディングス(本社札幌市、以下サツドラHD)。
その代表取締役を務める富山浩樹氏が、「学びによって奈良を変える!」を目的に、奈良県内の経営者・クリエイターを対象に「学びの場」を提供するプロジェクト「N.SEMINAR」(奈良クラブ主催)の講師に招かれ、「ドラッグストアを武器とした地域コネクティッドビジネスへの挑戦」をテーマにオンライン講演会が開催されました。
今回の記事では、サツドラHDのブランドコンセプト「地域をつなぎ、日本を未来へ。」を理念に掲げた取り組みとともに、地域の課題と地域ビジネスについて考えていきます。(この記事は10月17日に開催された第12回N.SEMINARの講演内容の一部を参考に、奈良新聞社が記事化したものです)

富山浩樹(とみやまひろき)
1976年9月5日生まれ。北海道札幌市出身。札幌大学経営学部卒業。ダイカ株式会社(現株式会社あらた)を経て、2007年10月株式会社サッポロドラッグストアーへ入社。09年業務改革推進室長、営業本部長、取締役、常務取締役を経て、15年5月に同社代表取締役社長に。2016年にサツドラホールディングス株式会社を設立、代表取締役社長就任。
「モノを売る」から「モノ×サービス」を提供する小売へ
日本全国の大きな課題の一つが「人口の減少」があります。人が減ると売る数も限られてしまいます。
特に小売業については、人口の減少は大きな壁であり、従来のビジネスでは、これからの時代を生き残ることは困難です。
サツドラHDが運営するドラッグストア「サツドラ」も例外ではなく、富山氏はこの課題を解決するためには、従来の「モノを売るだけの小売」から「モノ×サービスを提供する小売」へ変化させること、そしてドラッグストアビジネスから、「地域に関わるあらゆるヒト、モノ、コトをつなぐ」、地域コネクティッドビジネスへ展開することが重要だと話しています。

Zoomウェビナーでオンライン講演をする富山浩樹氏
北海道の現状と地域の課題について
ここで、北海道を例に地域における課題について詳しく考えてみましょう。
〈北海道の主な課題〉
- 人口500万人→2045年には400万人まで減少
- 20代~24歳の若年層が、進学・就職により地方から都市へ流出している
- 人口の一極集中、北海道は札幌市に総人口の4割が集中
- 札幌市以外の人口減少が急激に進むと予想
- 2025年には北海道の自治体の過半数が人口5000人未満に
この影響として、人口の減少により税収額が減少、その結果として行政サービスが低下し、ひいては地域の魅力減に繋がってしまう、そんな衰退のループが発生する危機感を感じている方も多いのではないでしょうか。

人口減による衰退ループの図
また「若年層の流出」は北海道の場合、流出による生産年齢人口の減少に伴い税収額も10年で800億ずつ減少すると言われており、人口減は生活関連サービスの縮小の課題も生み出します。
〈人口減により縮小する生活関連サービス(一例)〉
- 映画館、カラオケ、結婚式場、銀行(中央銀行を除く)などの生活関連サービス
- 学習塾や大学などの教育サービス
- 一般病院や介護老人保健施設、訪問介護事業などの医療福祉サービス
富山氏もドラッグストアビジネスには最低8000人の商圏人口が必要で、仮に人口5000人未満となった地域の場合、ビジネスは困難になると予想しています。また、この人口減により町からあらゆる生活関連サービスがなくなってしまう恐れがあると指摘しています。
確かに地域の人口減はビジネスの競合どころの話ではなく、もっと人口が必要なサービス、人口に頼るビジネスは厳しいと想像できます。

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