社会を良くする“ピボット型イノベーション”

こんにちは、IDEAFUL(@ideafuls)こと、世瀬健二郎です。「社会を良くするイノベーション」は6回目、一旦これにて最終回となります。

過去5回のコラムの中では、様々なイノベーションの形を紹介してきました。興味のある人はぜひ記事を遡ってチェックしてもらえたらと思います。

 

社会を良くするイノベーション|第1回 1万円から始められるイノベーション

ちなみに、僕がこのコラムを通じて伝えたいことは初回から大きく変わっていません。各回ごとにテーマは変えながらも、一貫して「イノベーションって決して難しいものだけじゃない」ということを言い続けてきました。

 

昔、こんなことを聞いたことがあります。「コンビニでお湯を提供しよう」と一番最初に発案した人は、とてもイノベーティブだと。今となってはどのコンビニにも欠かせないマストアイテムですが、初期のコンビニはもっと物を売ることが主体の”売り場”という位置付けがメインでした。そこにお湯が提供されるようになり、カップラーメンなどのインスタント食品を食べられるようになった。‟物を売る場所”から‟食事もできる場所”へとコンビニの大きな価値変容につながったのは言うまでもありません。このアイデア自体はとてもシンプルだし、誰でも思いつきそうですよね?

 

「イノベーション」と言うと巨額の費用がかかるし、凡人では思い付かない大胆な閃きが必要なのではないかと思われがちですが、実は全くそんな事はなく、このコンビニの事例のように手軽に考えたり、始められるアプローチも多く存在します。コラムを書き進めるために世界のイノベーションをリサーチしているとどんどんそんな事実に触れることが増え、いつしかそれを伝えるためにコラムを書いていたような気がします。

 

さて、最終回となる今回。

テーマは、「ピボット型イノベーション」です。

あくまでも本業に軸足を置きながら、片方の足の向きを変えたり動かす事で起きたイノベーションの数々をご紹介します。ゼロから始めるのではなく、既存の技術や知恵を軽やかに応用する事で生み出されたイノベーションは、どれもとても身近に感じられると思います。果てしなく遠くにある目標に目を向けることは疲れますし、途中で心が折れてしまいます。けれど、手元にある物を少し異なる用途で使ってみるだけでイノベーションが起こせたら、誰もがもっと気軽にイノベーションと向き合えるかもしれません。

 

日常から新しい価値を創造するピボット型イノベーションの世界、それでは一緒に覗いていきましょう。

医者の声から生まれた、薬嫌いの子供のための服薬補助菓子

出典:nippon.com

出典:nippon.com

出典:nippon.com

クラシエフーズの「ねるねるねるね」は子供の頃、みんな一度は食べたことがある伝説的な駄菓子です。専用の粉と水を混ぜて自ら作るという工程の面白さも相まって、今でも子供に大人気。そんなロングセラーブランドがイノベーションを起こすきっかけとなったのは、とある現場のお医者さんの声でした。「子供が薬を飲むのが苦手なので、このお菓子に包んで飲ませている」と言うエピソードに着想を得て、服薬補助菓子として新たに商品開発されたそうです。いつも通り練り菓子を作る工程の中に、薬が自然な形で混ぜ込まれているので、薬嫌いな子供でもこれなら前向きに服薬できるのではないでしょうか。駄菓子が医療分野へ、と言うととても大げさに聞こえますが、そもそもクラシエは漢方薬や医薬品の製造・販売も行っています。あくまでも軸足は本業(お菓子)に置きながら、もう一つの足を自社の異なる事業(医薬品)に越境することで生まれた、まさにピボット型のイノベーションと言えるでしょう。

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